今回の題材
出典先:高雄市本土登革熱+25 衛生局:疫情反轉趨緩より |
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<解説>
医療関係の記事は、中国語では音当て字、意味当て字などが多く、やや慣れが必要です。
「新型コロナウイルス感染症」は一般的な中国語では「新冠肺炎(シングァンフェイイェン)」とされますが、台湾では英文名称で「COVID-19」と言われることも多く、この場合は「コヴィシィジウ」などと読まれます。
デング熱については音当て字で「登革熱(ダングルゥ)」です。
私は現在、両親の介護で日本にいるのですが、十日ほど前、台南にいる妻と娘にビデオ通話を入れたところ、「明日デング熱の家屋内消毒が衛生局の指示で行われるので、衣類や食器なんかを袋に入れてしまわねばならず、ビデオ通話どころじゃない!」とのこと。だいぶ急な通達だったようで大騒ぎをしておりました・・・。
実は先月、台湾南部では蚊が媒介するデング熱が大流行し、高雄市や台南市では家屋内の消毒や住宅地の側溝などへの薬剤散布が大々的に行われていたのです。
デング熱は、蚊が運ぶウイルスで感染するウイルス性疾患ですが、感染すると今度は人から人へと感染するようになります。
風邪と似た症状で、健常であれば重症化するリスクはそれほど高くはないのですが、持病もちの方や高齢者では重症化することもあり、注意が必要です。
台湾では北部の台北でも一年中蚊がいますが、南部は熱帯気候なので真冬でも気温が30度以上あることはざらですから、蚊はたくさんいます。
古くはマラリアやデング熱は台湾の風土病であり、福建省からの漢人は入植してもウイルス疾患ですぐやられてしまいました。そのため原住民以外あまり寄り付くものがいない島だった台湾ですが、日本領になった際に、上下水道を整備したり公衆衛生を徹底したため、疫病やウイルス疾患は大幅に減少し、人口も増えていきました。
現在でも気候がかなり暑いので、台湾政府により公衆衛生には多くの配慮がされていますから、台湾にいると今回の記事のような報道はテレビでも頻繁に報じられます。
それにしても、台湾人は伝統的にデング熱は罹患してきているし、免疫耐性は強いはずなのにこうした大流行で環境衛生消毒までされるというのはたいへん珍しいケースです。
少なくとも私の記憶ではこれまでそんなこと、台南市では行われたこともありませんでした・・・。
新型コロナウイルス感染症でみながマスクをし、移動を制限していた期間が長かったため、その間新たなウイルスに感染しづらい状況にあったことのリバウンドともいわれるのですが、娘が通う台南市の小学校ではプール熱が流行ったかと思えば、インフルエンザ、複数の季節風邪と今年は次々と新たなウイルス性疾患が流行を見せています。
肺炎連鎖球菌などまで流行したりしています。
日本もコロナのリバウンドでインフルエンザなど今年は大流行の兆しとも言われます。
デング熱ですが、潜伏期間が比較的長いので台湾に旅行中に蚊に刺されても現地で発症することはほとんどないでしょう。ただ、帰国してから記事にもあるように「発熱、体の痛み、吐き気、発疹」などがある場合はデング熱の疑いがあり、これは飛沫等で人へと感染もしますから、すぐさま医療機関で渡航経緯を話して処置をしてもらった方がいいと思います。基本的には対処療法でおとなしくすれば一週間ほどで治まります。また感染してもほとんど風邪と見分けがつかないケースもあるそうです。とにかく帰国後風邪っぽければ、一度医療機関に行く方がいいでしょう。もっともデング熱で死亡した、という話は私個人は聞いたことはありませんが。
台湾に渡航される場合は、虫よけスプレーなどで蚊には刺されないように注意した方がいいでしょう。
台北はこれからそれなりに気温が下がるので蚊も減りますが、高雄や台南など南部の大都市に行かれる場合、そちらは「熱帯」です。日本とはまるで気候が違うので、健康にはご注意を!
<大意訳 全文>
(タイトル)
◎高雄市 台湾国内デング熱患者は25人増加:感染拡大の勢いは鈍る
高雄市では本日5日、デング熱の国内感染例は新たに25件、感染源としては地域コミュニティでのクラスター感染が16件、地域ごとの感染状況は小港区5件、苓雅区および大寮区は各3件、三民区で2件、新興区、鳥松区および大社区で各1件であり、単独感染発症での新たな増加は9件で地域ごとにみると鳳山区と三民区で各2件、鹽埕区、楠梓区、苓雅区、鼓山区および大寮区で各1件、その他国外から持ち込まれた例が1件、高雄市での国内感染件数累計は2615件である。高雄市衛生局は、高雄でのデング熱流行曲線はすでに落ち着いてきているとしている。その他、前鎮区明道里、鳳山区保安里はすでに4週以上新たなデング熱の診断例がみられないため、今日即日で警戒管理を解除した。
衛生局は、ここ数日は東北季節風が強まり、湿気を含んだ空気の流れが増すことから短時間雨が降る地域があり、市民の皆さんには自主的に住居や地域社会周辺に置かれている雑物や容器類を片づけていただき、水たまりからデング熱を媒介する蚊が発生するのを防ぎましょう、と呼びかける。雨が降った後48時間以内に、4つの作業「見回り、ゴミ捨て、清掃、拭き掃除」を習慣づける。家の中や外周辺を見て回り水がたまった容器を見つけたらきれいにする。デング熱が疑われる4大症状(発熱、体の痛み、吐き気、発疹)があったら、すぐさま高雄市に560箇所あるデング熱対応の医療契約診療所に行き、自主的に医師にTOCC(旅行経緯、活動経緯、接触経緯、人込みにいた経緯)を伝え、ならびに素早く4つの処置(迅速な清掃、迅速な報告、迅速な隔離、迅速な消毒)を行う。
伝染病管理署の統計では、最近国内での新型コロナウイルス感染症の発症は多くはないが上下推移しており、引き続き合併症や死亡のリスクがある。合併症を発症した症例のうちでは65歳以上の年配者が78%を占め、死亡した例においては65歳以上の年配者が90%を占めている。新たな合併症による死亡の症例を分類すると、そのうち97~98%はオミクロン株対応の新型コロナワクチンを未接種であった。一方で今年の第48週(11/26-12/2)における緊急外来でのインフルエンザ診察を受けた人の数はのべ50,830人であり、インフルエンザなどの呼吸器系ウイルスが社会全体で明らかに蔓延してきている。呼吸器系病原体の流行内訳は、インフルエンザウイルス(31%)が多く、ついでいわゆるプール熱と呼ばれるアデノウイルス(30%)、インフルエンザ以外の風邪(17%)、さらにはウイルス性呼吸器感染症、新型コロナウイルス感染症も。
まもなく元旦や春節の連休となり、旅行や帰省での人の行き来が増え上記の呼吸器系感染症が増加するリスクが増大するため、衛生局はワクチン接種は感染症予防には最も有効な方法である、とさらに声明を出している。公費でのワクチンの早めの接種に応じ、特に65歳以上の年配者や高リスクの人はオミクロン株対応の新型コロナワクチン、インフルエンザワクチン、肺炎連鎖球菌ワクチンの三種類のワクチン接種を早めに終えることで、早めに十分な免疫耐性を得て自分自身や親しい人たちの健康を守りましょう、と呼びかける。高雄市の中央からの政策に沿った処置は今年の12月31日までで、65歳以上の年配者(55歳以上の原住民も含む)は新型コロナワクチンを摂取すると500元の商品券と公衆衛生教育関連品がもらえ、なおかつ三種類の公費ワクチン(インフルエンザ、新型コロナ、肺炎連鎖球菌)を接種すると新型コロナウイルス簡易検査キット10回分をもらうことができる。
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原文引用・語彙注釈・大意訳
◆今回の出典先:台湾Yahoo!:中廣新聞網
2023年12月5日 週二 下午10:51
セクション1
◎高雄市本土登革熱+25 衛生局:疫情反轉趨緩
高雄市今(5)日新增登革熱本土個案25例,感染源為社區群聚衍生16例,分別為小港區5例,苓雅區Líng yǎ區及大寮Dà liáo區各3例,三民區2例,新興Xīnxīng區、鳥松區及大社區各1例;單點新增個案共9例,分別為鳳山Fèng shān區及三民區各2例,鹽埕Yán chéng區、楠梓Nán zǐ區、苓雅區、鼓山Gǔshān區及大寮區各1例,另有境外改判本土1例,高雄市累計本土個案2,615例。高雄市衛生局表示,高雄的登革熱流行曲線已經呈現反轉,疫情趨緩。另,前鎮區明道里Qián zhèn qū míngdào lǐ、鳳山區保安里已經逾4週未再有登革熱確診個案,即日起解除管制。
<語彙注釈>
登革熱Dēnggérè=デング熱 趨緩Qū huǎn=緩やかになる 群聚衍生Qún jù yǎnshēng=クラスター感染 改判Gǎipàn=書き換える 流行曲線Liúxíng qǔ xiàn=流行のグラフ 逾Yú=以上 確診Quèzhěn=診断確定
<大意訳>
(タイトル)
◎高雄市 台湾国内デング熱患者は25人増加:感染拡大の勢いは鈍る
高雄市では本日5日、デング熱の国内感染例は新たに25件、感染源としては地域コミュニティでのクラスター感染が16件、地域ごとの感染状況は小港区5件、苓雅区および大寮区は各3件、三民区で2件、新興区、鳥松区および大社区で各1件であり、単独感染発症での新たな増加は9件で地域ごとにみると鳳山区と三民区で各2件、鹽埕区、楠梓区、苓雅区、鼓山区および大寮区で各1件、その他国外から持ち込まれた例が1件、高雄市での国内感染件数累計は2615件である。高雄市衛生局は、高雄でのデング熱流行曲線はすでに落ち着いてきているとしている。その他、前鎮区明道里、鳳山区保安里はすでに4週以上新たなデング熱の診断例がみられないため、今日即日で警戒管理を解除した。
セクション2
衛生局表示近日東北季風增強,帶來水氣增加導致部分區域短降雨,請市民朋友主動清除住家及社區周圍堆積物雜物及容器,避免積水孳生病媒蚊。雨後48小時內落實4大動作「巡、倒、清、刷」,巡視家戶內外周遭環境將積水容器清除。如出現登革熱4大疑似症狀(發燒、疼痛、噁心嘔吐、皮疹),請儘速前往高雄市560家登革熱整合式醫療合約院所就醫,及主動告知醫師TOCC(旅遊史、活動史、接觸史、群聚史),並進行4快動作(快篩、快報、快隔、快噴)。
<語彙注釈>
降雨Jiàngyǔ=雨が降る 雜物Zá wù=雑貨類 積水孳生病媒蚊Jīshuǐ zīshēng bìngméiwén=たまった水が病気を媒介する蚊を繁殖させる 落實Luòshí=習慣づける 巡視Xúnshì=見回る 遭Zāo=遭遇する 疑似Yísì=疑わしい 疼痛Téngtòng=痛み 噁心嘔吐Ěxīn ǒutù=気持ち悪くなり吐く 皮疹Pízhěn=発疹 合約Héyuē=契約している 醫師Yīshī=医師 群聚史Qún jù shǐ=人込みにいた記録 快篩Kuài shāi=速やかな清掃 噴Pēn=消毒
<大意訳>
衛生局は、ここ数日は東北季節風が強まり、湿気を含んだ空気の流れが増すことから短時間雨が降る地域があり、市民の皆さんには自主的に住居や地域社会周辺に置かれている雑物や容器類を片づけていただき、水たまりからデング熱を媒介する蚊が発生するのを防ぎましょう、と呼びかける。雨が降った後48時間以内に、4つの作業「見回り、ゴミ捨て、清掃、拭き掃除」を習慣づける。家の中や外周辺を見て回り水がたまった容器を見つけたらきれいにする。デング熱が疑われる4大症状(発熱、体の痛み、吐き気、発疹)があったら、すぐさま高雄市に560箇所あるデング熱対応の医療契約診療所に行き、自主的に医師にTOCC(旅行経緯、活動経緯、接触経緯、人込みにいた経緯)を伝え、ならびに素早く4つの処置(迅速な清掃、迅速な報告、迅速な隔離、迅速な消毒)を行う。
セクション3
依疾病管制署統計,國內近期COVID-19疫情處低點上下波動,併發症及死亡風險持續,發生併發症的個案中65歲以上長者占78%;死亡個案中65歲以上長者占90%;新增併發症及死亡病例分別有98%及97%未曾接種新冠XBB疫苗。另第48週(11/26-12/2)門急診類流感就診人次為50,830人次,顯示流感等呼吸道病毒於社區活動度持續。經分離所流行呼吸道病原體以流感病毒(31%)為多,其次為腺病毒(30%)、副流感病毒(17%),還有呼吸道融合病毒及新冠病毒等。
<語彙注釈>
疫情處Yìqíng chù=疫病部門 占Zhàn=占める 腺病毒Xiàn bìngdú=アデノウイルス感染症(いわゆるプール熱)副流感病毒Fù liúgǎn bìngdú=パラインフルエンザウイルス 呼吸道融合病毒Hūxīdào rónghé bìngdú=ウイルス性呼吸器感染症
<大意訳>
伝染病管理署の統計では、最近国内での新型コロナウイルス感染症の発症は多くはないが上下推移しており、引き続き合併症や死亡のリスクがある。合併症を発症した症例のうちでは65歳以上の年配者が78%を占め、死亡した例においては65歳以上の年配者が90%を占めている。新たな合併症による死亡の症例を分類すると、そのうち97~98%はオミクロン株対応の新型コロナワクチンを未接種であった。一方で今年の第48週(11/26-12/2)における緊急外来でのインフルエンザ診察を受けた人の数はのべ50,830人であり、インフルエンザなどの呼吸器系ウイルスが社会全体で明らかに蔓延してきている。呼吸器系病原体の流行内訳は、インフルエンザウイルス(31%)が多く、ついでいわゆるプール熱と呼ばれるアデノウイルス(30%)、インフルエンザ以外の風邪(17%)、さらにはウイルス性呼吸器感染症、新型コロナウイルス感染症も。
セクション4
因應即將元旦及春節等連假到來,旅遊及回鄉探親人潮往返頻繁,上呼吸道感染風險增加,衛生局進一步表示,接種疫苗是預防疾病最有效的方式,呼籲符合公費疫苗接種儘速施打,尤其是65歲以上長者及高風險族群應及早完成新冠XBB疫苗、流感疫苗、肺炎鏈球菌疫苗等3種疫苗施打,及早獲得足夠保護力,維護自己及親友健康。高雄市配合中央政策至今(112)年12月31日止,提供65歲以上長者(含55歲以上原住民)接種新冠疫苗500元禮券衛教品,且接種3種公費疫苗(流感、新冠、肺炎鏈球菌)皆可領取10劑COVID-19快篩試劑。(林憲源報導)
<語彙注釈>
往返頻繁Wǎngfǎn pínfán=頻繁に行き来する 呼籲符合Hūyù fúhé=順うよう呼び掛ける 新冠XBB疫苗Xīnguān XBB yìmiáo=COVID-19 XBB ワクチン、オミクロン株対応ワクチン のこと 肺炎鏈球菌Fèiyán liàn qiújùn=肺炎連鎖球菌 足夠Zúgòu=十分な 且Qiě=そして 接種新冠疫苗500元禮券衛教品Jiēzhǒng xīnguān yìmiáo 500 yuán lǐquàn wèi jiào pǐn=新型コロナワクチン接種でもらえる500元商品券と公衆衛生教育関連品 COVID-19快篩試劑 COVID-19 kuài shāi shìjì=新型コロナウイルス簡易検査キット
<大意訳>
まもなく元旦や春節の連休となり、旅行や帰省での人の行き来が増え上記の呼吸器系感染症が増加するリスクが増大するため、衛生局はワクチン接種は感染症予防には最も有効な方法である、とさらに声明を出している。公費でのワクチンの早めの接種に応じ、特に65歳以上の年配者や高リスクの人はオミクロン株対応の新型コロナワクチン、インフルエンザワクチン、肺炎連鎖球菌ワクチンの三種類のワクチン接種を早めに終えることで、早めに十分な免疫耐性を得て自分自身や親しい人たちの健康を守りましょう、と呼びかける。高雄市の中央からの政策に沿った処置は今年の12月31日までで、65歳以上の年配者(55歳以上の原住民も含む)は新型コロナワクチンを摂取すると500元の商品券と公衆衛生教育関連品がもらえ、なおかつ三種類の公費ワクチン(インフルエンザ、新型コロナ、肺炎連鎖球菌)を接種すると新型コロナウイルス簡易検査キット10回分をもらうことができる。
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