今回の題材
出典先:台積電效應 赴美工作暴增近5萬人より |
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<解説>
資源に乏しい国が経済で生き残っていくには、貿易等で海外と関わり合っていくしかありません。
これは小国で2400万人ほどしか人口がなく、国連では国として認知されない台湾にしても同じことなのですが、このところアメリカに赴任する数が増えてきている、というニュースですね。
最新の台湾の統計では、記事にある通り海外で勤務する台湾人は47万人以上とのことです。
このうち現在、アメリカがTSMCなどのハイテク産業の投資活発化で増加傾向にあります。
日本と比較した場合、海外にいる日本人は130万人といいますが、仕事での赴任は70万人くらいといわれ、日本の人口が1億とした場合、割合は低いことがわかります。
韓国にいたっては海外在住者だけで700万人(!)と、人口が6000万人ということを考えると、1割程度が海外に在住していることになります。
まあ、一概には比較できません。
韓国は日本に永住する在日韓国人の方も多いですし、台湾の場合は中国語が通用するので中国に赴任する人も多いです。
日本の場合は人口が国土に対して多いので、国内市場でもそこそこやれる、ということもこれまではありました。
しかし、小国として考える場合、こうした海外赴任者数は経済活動の活発化の度合いでもあり、日本は鈍ってきているとも言えるのでしょう。
ポイントとしてはやはり言語ですね。
私は、海外進出が大事だから、社内公用語を英語にする、といった方向性は疑問に思っていますし、また学校での授業言語をすべて英語にするとか、そういう方向性は否定的に見ているものです。
母国語での言語能力が未熟なものがそんなうわべだけでの外国語偏重をしたところで意味がないと思います。
英語にしろ、日本の場合は旧態依然の英語教育が相変わらずで、何年英語の授業を受けても身につかないというのは、はっきりいえば教え方に問題があるのです。最近では文法もろくに教えずヒアリング重視だのとやっているようですが、母言語者でない以上は、それをやっても混乱するだけだと思いますし、まただいたい、現代日本は高校生で一般的な日本の新聞記事をよく理解できない子が非常に多いのです。そんな人が、英語なら高度なことが理解できるとでも?
まずは自由に日本語の本が読めるようになることが先決です。
そうでなければ、海外進出よりはるか以前の問題として、思考力が弱い人ばかりになっていきます。思考が弱ければ、海外でもなにもできませんから。
またその他の言語については驚くほど弱いですよね。
弱いというよりも、教える人も非常に少ないのです。たとえば中国語を学ぶといっても、私の住む田舎町ではなんの手段もありません。せいぜいNHKの「まいにち中国語」くらいのものです。
もっと、公立学校の中で選択制で多言語を学べるようになればいいのに、などとは思いますね。
なかなか、言葉の壁というのは「あいかわらず」日本人にとっては大きなネックであります。
そのように、私が高校生大学生の時言われておったものですが、この30年でほぼ進歩していない・・・というのは、日本の教育システムには大きな問題があるのでしょう。
話を戻しますが、日本国内だけでも経済がなんとかなるならば、現状のままでもいいでしょうけれど、日本もまた海外に加工品を売り、海外で稼がねば経済がうまくいかぬ国です。
こうした記事は、今の日本人にとっても刺激になると思います。
<大意訳 全文>
(タイトル)
◎TSMC効果 アメリカで仕事をする人はこのところ5万人増加
国境が全面解放され、新型コロナウイルスの蔓延がおさまり、主計総局が14日に交付した「中華民国111年海外で仕事をする国民の統計」によると、海外で仕事をする台湾人の数は47.3万人と跳ね上がり、1年前と比較すると大幅に15.4万人増加している。TSMCのアメリカ投資、工場建設などの影響でアメリカで仕事をする人の数は最新の統計で5万人激増、東南アジアへの増加3.1万人を大幅に超え、また日本・韓国および中国が昨年それぞれ1.7万人、1.4万人であったこととくらべてもはるかに多い。
昨年仕事で海外に赴任した人数は15.4万人と大幅に増加し、増加率は48.4%ではあるけれども、主計総局の官員が言うには、中華民国108年(2019年)の最高数73.9万人と比べればまだまだ26.6万人も少ない。官員が言うには、地域ごとで見ると、アメリカで仕事する人の数だけがコロナ前よりもたしかに多く、その他の国や地域でみるといまだにコロナ前の水準には至っていない。
アメリカへの赴任者数が大幅に増えていることについて官員が分析するに、TSMCの投資、工場建設の他にも台湾とアメリカの相互貿易が緊密化していることが関係しており、他の企業もアメリカに投資しているため人手の必要がそれに伴い増えてきている。それ以外にも国境が解放され検疫で隔離する必要がなくなったので、海外で仕事をする人は自由に台湾や仕事する国へと行き来できるようになり、中華民国での居留ビザを回復する人の数が大幅に増えていることも海外への進出を後押しし、アメリカに仕事で赴任する人の統計にあらわれている。
主計総局の統計が示す昨年の台湾人が仕事で赴任した地域(国)によると、中国大陸(香港とマカオを含む)が17.7万人で全体の37.5%と一番多い。ついでアメリカが10.3万人で21.8%、東南アジア7.1万人で15%、日本と韓国が4万人で8.5%である。
中国大陸へ仕事で赴く台湾人の数は17.7万人と一番多いが、しかし中華民国100年(2012年)当時の62%で、(最も多かった時期の)42万以上の大群が行っていたころとは比較にもならず、現在の人数はそれと比べたら37.5%まで下がっていて史上最低とさえ言うことができる。官員の分析では、中国とアメリカの貿易戦争がハイテク産業にも及んでいて、サプライチェーンは組織を再編中であり、台湾企業はアメリカや東南アジアへの投資を増やしている。加えて中国は昨年はコロナ統制を行っていて解除が遅かったことも海外赴任先の動向に影響を与えている。
統計がまた示すのは、アメリカへの赴任者数は10.3万人で全体の21.8%であるが、この二つの数値はいずれも目下新記録を更新中である。官員が断言するに、台湾人の海外における仕事先は、アメリカと中国は反比例の傾向を示す。
注目に値するのは、これまで海外で仕事するのは主に男性だったが、現在では女性の比率が大幅に近づきつつあり、男性が25.4万人で全体の53.6%であるのに対し女性は22万人で46.4%である。ただし昨年新たに海外で仕事をはじめた女性の数は9万人であり男性の増加よりも6.6万人も多い。男性は中国と東南アジアで仕事をする人が多いのだが、女性はアメリカ・日本・韓国に偏っている。
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原文引用・語彙注釈・大意訳
今回の出典先:台湾Yahoo!:洪凱音╱台北報導
2023年12月15日 週五 上午5:10
セクション1
◎台積電效應 赴美工作暴增近5萬人
國境全面開放,疫情影響弱化,主計總處14日公布「111年國人赴海外工作人數統計」,國人赴海外工作人數跳升至47.3萬人,較前1年大幅增加15.4萬人;受台積電赴美投資、設廠等影響,赴美國工作的人數暴增近5萬人,大幅超越東南亞增加的3.1萬人,也超越赴日韓及中國大陸者,去年分別增加1.7萬人及1.4萬人。
<語彙注釈>
效應Xiàoyìng=効果
<大意訳>
(タイトル)
◎TSMC効果 アメリカで仕事をする人はこのところ5万人増加
国境が全面解放され、新型コロナウイルスの蔓延がおさまり、主計総局が14日に交付した「中華民国111年海外で仕事をする国民の統計」によると、海外で仕事をする台湾人の数は47.3万人と跳ね上がり、1年前と比較すると大幅に15.4万人増加している。TSMCのアメリカ投資、工場建設などの影響でアメリカで仕事をする人の数は最新の統計で5万人激増、東南アジアへの増加3.1万人を大幅に超え、また日本・韓国および中国が昨年それぞれ1.7万人、1.4万人であったこととくらべてもはるかに多い。
セクション2
即使去年赴海外工作人數大幅增加15.4萬人、年增率達48.4%,但主計總處官員表示,若與108年高峰、73.9萬人相比,還足足差了26.6萬人;官員表示,以區域來分,僅赴美工作人數正式超越疫情前,其他國家或地區,皆尚未回到疫情前水準。
赴美國工作人數大增,官員分析,除台積電投資、設廠外,也因台灣與美國貿易往來密切有關,其他企業也赴美投資,人力需求因而跟著增加;此外,國境開放不必隔離,海外工作者能自由進出台灣與工作地,恢復中華民國戶籍的人數也大增,進而推升海外、赴美工作的人數統計。
主計總處統計顯示,去年國人赴海外工作地區(國家),中國大陸(含港澳)17.7萬人、占37.5%最高,其次是美國10.3萬人,占21.8%,東南亞7.1萬人,占15.0%,日韓4萬人、占8.5%。
<語彙注釈>
即使Jíshǐ=…だとしても 港澳Gǎng'ào=香港とマカオ
<大意訳>
昨年仕事で海外に赴任した人数は15.4万人と大幅に増加し、増加率は48.4%ではあるけれども、主計総局の官員が言うには、中華民国108年(2019年)の最高数73.9万人と比べればまだまだ26.6万人も少ない。官員が言うには、地域ごとで見ると、アメリカで仕事する人の数だけがコロナ前よりもたしかに多く、その他の国や地域でみるといまだにコロナ前の水準には至っていない。
アメリカへの赴任者数が大幅に増えていることについて官員が分析するに、TSMCの投資、工場建設の他にも台湾とアメリカの相互貿易が緊密化していることが関係しており、他の企業もアメリカに投資しているため人手の必要がそれに伴い増えてきている。それ以外にも国境が解放され検疫で隔離する必要がなくなったので、海外で仕事をする人は自由に台湾や仕事する国へと行き来できるようになり、中華民国での居留ビザを回復する人の数が大幅に増えていることも海外への進出を後押しし、アメリカに仕事で赴任する人の統計にあらわれている。
主計総局の統計が示す昨年の台湾人が仕事で赴任した地域(国)によると、中国大陸(香港とマカオを含む)が17.7万人で全体の37.5%と一番多い。ついでアメリカが10.3万人で21.8%、東南アジア7.1万人で15%、日本と韓国が4万人で8.5%である。
セクション3
儘管國人以赴中國大陸工作人數17.7萬人最多,但與100年占比62%、逾42萬大軍相比不可同日而語,如今占比降至37.5%堪稱是史上最低。官員分析,這與陸美貿易大戰打到科技戰,供應鏈重組下,台商赴美、東南亞投資都有增加,加上大陸去年疫情管控,解封也較慢,赴海外的工作版圖因而受到影響。
<語彙注釈>
儘管Jǐnguǎn=…であるけれども 逾Yú=以上 同日而語Tóngrì ér yǔ=同じだということ 堪稱Kān chēng=…と言うことさえできる 供應鏈Gōngyìng liàn=サプライチェーン 重組下Chóngzǔ xià=組織の再編中である 管控Guǎnkòng=コントロール、統制 版圖Bǎntú=領域
<大意訳>
中国大陸へ仕事で赴く台湾人の数は17.7万人と一番多いが、しかし中華民国100年(2012年)当時の62%で、(最も多かった時期の)42万以上の大群が行っていたころとは比較にもならず、現在の人数はそれと比べたら37.5%まで下がっていて史上最低とさえ言うことができる。官員の分析では、中国とアメリカの貿易戦争がハイテク産業にも及んでいて、サプライチェーンは組織を再編中であり、台湾企業はアメリカや東南アジアへの投資を増やしている。加えて中国は昨年はコロナ統制を行っていて解除が遅かったことも海外赴任先の動向に影響を与えている。
セクション4
統計也顯示,赴美工作人數10.3萬人、占比21.8%,兩個數據紛紛創下新高;官員坦言,就國人赴海外工作的版圖,美國、中國大陸是朝反向發展。
值得注意的是,過去海外工作以男性為主,現在女性比例有大幅拉近的趨勢,男性25.4萬人,占比53.6%;女性22萬人、占46.4%,但去年女性新增海外工作人數9萬人,比男性增加6.6萬人多;而男性往大陸及東南亞工作者多,女性則偏重美日韓。
<語彙注釈>
顯示Xiǎnshì=示す 偏重Piānzhòng=偏っている 朝反向發展Cháo fǎn xiàng fāzhǎn=相反する発展を示す
<大意訳>
統計がまた示すのは、アメリカへの赴任者数は10.3万人で全体の21.8%であるが、この二つの数値はいずれも目下新記録を更新中である。官員が断言するに、台湾人の海外における仕事先は、アメリカと中国は反比例の傾向を示す。
注目に値するのは、これまで海外で仕事するのは主に男性だったが、現在では女性の比率が大幅に近づきつつあり、男性が25.4万人で全体の53.6%であるのに対し女性は22万人で46.4%である。ただし昨年新たに海外で仕事をはじめた女性の数は9万人であり男性の増加よりも6.6万人も多い。男性は中国と東南アジアで仕事をする人が多いのだが、女性はアメリカ・日本・韓国に偏っている。
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