今回の題材
出典先:”中國可能犯台?蔡英文:「習先生」已給出答案”より |
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<解説>
知り合いや親族から、
「台湾は中国が侵攻するみたいだから大変だねえ?」
「中国と戦争になるかもしれないのに台湾なんかに行って、大丈夫なの?」
などとやじ馬のようなことを聞かれることがよくあります。
その場合は面倒くさいので、
「そうなったら、私は台湾人との国際結婚者で娘も台湾の学校に行ってますから、できることをやって一緒に戦いますよ」
と答えることにしています(これは、本気ですが)。
しかし、実際のところ、台湾人はどう考えているのでしょう?
今回、最新の蔡英文総統のインタビューでは、「習近平はやる気だと言っている」と答えていますが、同時にかなり冷静でもあります。
台湾国内では、総統選をめぐっても、中国に対するスタンスが大きな焦点となります。
もちろん、中国に侵攻されることを望む台湾人は一人もいません。
ならばどうするか?ということになってくるのですが、国民党は協調路線を主張、民進党はあくまでも距離を置くという立場です。
今回の総統選では、全体としては協調路線を望む声が多いですが、しかし国民党、民衆党、親民党などの協調路線派は見解や中国との距離感をめぐってはバラバラで、まとまりません。
結果的にはこうした世論をフィードバックさせつつ民進党の政権が継続しそうではあります。
ところで客観的に見た場合、台湾というのは、中国からしてみれば、資本主義世界へ工場で作った製品を輸出していくための重要な「チャンネル」です。
中国が外交関係悪化で貿易に支障が出る場合でも、台湾チャンネルがあるから製品を流していける、という面もあります。
同時に資本主義各国からすれば台湾は中華世界への重要な「ハブ」の一つでもあり、台湾を経由することでビジネスがしやすい側面は多々あります。
ちょうどスマートフォンがiphoneとandroidと規格が二つあることで両者とも発展するように、中華世界にも中国と台湾と規格が二つあること自体は、中国にとっても利益なのです。
中華世界の場合、政治は二つに分かれていますが、実は経済に関しては推進してきている人たちは客家資本が中心で、ここには実はイデオロギー的なことはうわべにすぎず、中国と台湾と「規格が二つある」ことを最大限に生かして経済発展を成し遂げてきました。
台湾の経済発展は、こうした中華資本が台湾を重要な拠点の一つとして膨大な投資を行ってきていることに寄っています。
習近平主席になってから、政治に対する資本グループの干渉を排除して中央集権を強めてきているのですが、しかし中国も経済成長は頭打ちになってきて、深刻な危機がささやかれるようになってきています。
習近平国家主席は台湾を併合して統一すると公言はするものの、中華世界の経済界はそれを積極的には望んではいません。
これはiphoneだけにスマホを統一すれば、開発や販売がうまくいくかといえばそうでないことと同じです。
中国で経済成長が行き詰りつつある現在、中国台湾を含めて東南アジアや世界各地に勢力を展開する中華世界の資本グループの協力は必要です。
こうした情勢を蔡英文総統も冷静にとらえていることがインタビューからもうかがえます。
それにしても、蔡英文さんは東アジア方面では初の女性のリーダーです。
もともと学者で、コーネル大学で法学を、ロンドン経済大学で経済学を学び博士号も持つ、非常に頭脳明晰で経済にも法制にも通じた人です。
政治家として女性がつとまるか?という批判もあった中、8年間立派に総統の職務を全うしようとしています。
能力や資質が???なのが多い日本の世襲政治家さんたちを見ていると、なんだかうらやましくなってしまいますね・・・。
<大意訳 全文>
(タイトル)
◎中国は台湾に侵攻するのか?蔡英文:「習さん」はすでに答えを出した
総統・蔡英文は『ニューヨークタイムズ』の訪問インタビューに応じ、話のなかで中国が台湾進攻する可能性とその時期について、「最近、バイデン大統領との会談の中で、習さんはすでに答えを出している」と指摘した。
彼女の認識では、国際社会はすでに共通認識を持っており、安定的で平和な中台両岸関係が各方面における最も望ましい利益に合致する。蔡総統はさらに述べる。現在、中国の指導部は内部から起こった極めて大きな危機に直面しており、今はあるいは中国が大規模な台湾侵攻を考えられる時期ではないかもしれない、と。蔡総統は先日ビデオ形式で『ニューヨークタイムズ』が開催した「録画貿易サミット」(DealBook Summit)の単独インタビューに応じていて米台関係、台中関係および半導体産業などのテーマについて語っており、総統府は今日の午前、プレスリリースとして単独インタビュー全文を公表した。
中国が台湾侵攻する危険性をどのように考えているかを問われた時、蔡総統は次のように述べた。台湾は確かにますます多くの軍事的な恫喝や、グレーゾーンでの活動、ネット攻撃、情報操作などに直面している。こうした脅威に対し、台湾の人民は依然、冷静さを保ち続けている。「冷静の度が過ぎる」かもしれないとさえ考える評論もあるくらいだ。実際のところ台湾人民は現在直面している情勢をかなりはっきりと理解しており、防衛力や社会の強靭さを強化するため最大限に努力し続けることだろう、と。
蔡総統は、多くの人が侵攻が起こりうる時期を討論したがっているが、中国の習近平国家主席が最近バイデン米大統領と会談した中で、「習さんはすでに彼の回答を出している」と言及する。総統は国際社会はすでに安定的で平和な中台両岸関係こそが各方面における最も望ましい利益に合致する、との共通認識に達していると考えている。そのため、理念を同じくするパートナーと共同でリスクのある台湾海峡方面をコントロールし、すでに大きな進展を得ている。これらの進展は、最近の二国間および多国間における会議で発表されてきた多くの声明の中に見出すことができる。たとえば「キャンプデービッドサミット」と東京で開催されたG7外相会議といったものが好例である。
蔡総統は、現在中国の指導部は内部から起こってきた極めて大きな危機に直面していることを指摘、彼女が認識するに、現在おそらく彼らは大規模な台湾侵攻を考慮する時期ではない。なぜなら中国国内経済、金融そして政治的な危機があるからで、さらには国際社会はすでに声をあげて戦争はオプションではなく、平和と安定こそあらゆる人の利益と合致するものであるとはっきり表明しているからだ。
蔡総統はアメリカが他の地域で起こる事件の影響を受けずに、台湾との変わることないパートナーシップを繰り返し公式表明し、かつインド太平洋地域に注意を払ってくれていることに感謝する。彼女はこう述べる。今月初め、G7外相会議が台湾の安全は世界の安全保障に関連して重要であると繰り返し声明を出した。ウクライナや中東の戦争を通じて台湾は戦争の勃発を回避することこそ最善の方策であることを意識させられている。戦争が起こることを回避するためには、自らを守る力と覚悟をもつことが重要になってくる。また同時に忘れてはならぬのは、テロリズムや恐怖主義、覇権主義による侵略に抵抗し、あらゆるパートナーおよび盟友たちと共同で努力していく必要がある、と。(責任編集:莊儱宇)
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原文引用・語彙注釈・大意訳
◆今回の出典先:Yahoo奇摩(即時新聞)
更新時間: 2023年11月30日 週四 上午11:51
セクション1
◎中國可能犯台?蔡英文:「習先生」已給出答案
總統蔡英文接受《紐約時報》訪問談到中國犯台可能性與時間表指出,「在最近與美國總統拜登會談中,習先生已經給出答案」。
她認為,國際社會已經達成共識,和平穩定的兩岸關係符合各方的最佳利益。蔡總統還說,目前中國領導階層面臨來自內部的極大挑戰,現在也許不是中國考慮大規模犯台的時機。
蔡總統日前以視訊方式接受《紐約時報》舉辦的「交易錄峰會」(DealBook Summit)專訪,談及台美關係、兩岸關係及半導體產業等議題,總統府上午發布新聞稿刊登專訪全文。
<語彙注釈>
也許Yěxǔ=おそらく 視訊Shìxùn=ビデオ 交易錄峰會Jiāoyì lù fēnghuì=録画貿易サミット 新聞稿Xīnwén gǎo=プレスリリース 刊登Kāndēng=公表
<大意訳>
(タイトル)
◎中国は台湾に侵攻するのか?蔡英文:「習さん」はすでに答えを出した
総統・蔡英文は『ニューヨークタイムズ』の訪問インタビューに応じ、話のなかで中国が台湾進攻する可能性とその時期について、「最近、バイデン大統領との会談の中で、習さんはすでに答えを出している」と指摘した。
彼女の認識では、国際社会はすでに共通認識を持っており、安定的で平和な中台両岸関係が各方面における最も望ましい利益に合致する。蔡総統はさらに述べる。現在、中国の指導部は内部から起こった極めて大きな危機に直面しており、今はあるいは中国が大規模な台湾侵攻を考えられる時期ではないかもしれない、と。蔡総統は先日ビデオ形式で『ニューヨークタイムズ』が開催した「録画貿易サミット」(DealBook Summit)の単独インタビューに応じていて米台関係、台中関係および半導体産業などのテーマについて語っており、総統府は今日の午前、プレスリリースとして単独インタビュー全文を公表した。
セクション2
在被問到如何評估中國犯台的風險時,蔡總統表示,台灣的確面臨愈來愈多軍事恫嚇、灰色地帶活動、網路攻擊和資訊操控。面對這些威脅,台灣人民仍保持冷靜,有評論甚至認為可能「過度冷靜」。其實,台灣人民相當明瞭當前局勢,將持續盡最大努力強化防衛能力和社會韌性。
<語彙注釈>
恫嚇Dònghè=恫喝 灰色地帶Huīsè dìdài=グレーゾーン 資訊操控Zīxùn cāokòng=情報操作 明瞭Míngliào=よくわかっている 韌性Rènxìng=強靭さ
<大意訳>
中国が台湾侵攻する危険性をどのように考えているかを問われた時、蔡総統は次のように述べた。台湾は確かにますます多くの軍事的な恫喝や、グレーゾーンでの活動、ネット攻撃、情報操作などに直面している。こうした脅威に対し、台湾の人民は依然、冷静さを保ち続けている。「冷静の度が過ぎる」かもしれないとさえ考える評論もあるくらいだ。実際のところ台湾人民は現在直面している情勢をかなりはっきりと理解しており、防衛力や社会の強靭さを強化するため最大限に努力し続けることだろう、と。
セクション3
蔡總統提到,很多人想討論可能的時間表,中國國家主席習近平在最近與美國總統拜登的會談中,「習先生已經給出他的答案」。總統認為國際社會已經達成共識,和平穩定的兩岸關係符合各方的最佳利益。因此,理念相近的夥伴在共同管控台海風險方面,已取得重大進展。這些進展,可以在近期的雙邊及多邊會議所發表的許多聲明中看到,例如「大衛營峰會」和在東京舉行的7大工業國集團(G7)外長會議。
<語彙注釈>
拜登Bài dēng=バイデン大統領 夥伴Huǒbàn=パートナー 管控Guǎnkòng=コントロールする 雙邊Shuāngbiān=二国間の 大衛營峰會Dà wèi yíng fēnghuì=キャンプデービッドサミット
<大意訳>
蔡総統は、多くの人が侵攻が起こりうる時期を討論したがっているが、中国の習近平国家主席が最近バイデン米大統領と会談した中で、「習さんはすでに彼の回答を出している」と言及する。総統は国際社会はすでに安定的で平和な中台両岸関係こそが各方面における最も望ましい利益に合致する、との共通認識に達していると考えている。そのため、理念を同じくするパートナーと共同でリスクのある台湾海峡方面をコントロールし、すでに大きな進展を得ている。これらの進展は、最近の二国間および多国間における会議で発表されてきた多くの声明の中に見出すことができる。たとえば「キャンプデービッドサミット」と東京で開催されたG7外相会議といったものが好例である。
セクション4
蔡總統指出,目前中國領導階層面臨來自內部的極大挑戰,她認為,現在也許不是他們考慮大規模犯台的時機。因為中國國內經濟、金融和政治的挑戰,還有國際社會已大聲呼籲及清楚表明,戰爭非選項,和平與穩定符合所有人的利益。
<語彙注釈>
選項Xuǎnxiàng=オプション
<大意訳>
蔡総統は、現在中国の指導部は内部から起こってきた極めて大きな危機に直面していることを指摘、彼女が認識するに、現在おそらく彼らは大規模な台湾侵攻を考慮する時期ではない。なぜなら中国国内経済、金融そして政治的な危機があるからで、さらには国際社会はすでに声をあげて戦争はオプションではなく、平和と安定こそあらゆる人の利益と合致するものであるとはっきり表明しているからだ。
セクション5
在談到烏俄戰爭及以色列的戰爭相關議題時,蔡總統表示,她密切關注烏克蘭的情勢發展,身為總統,保護台灣人民民主和自由的生活方式,永遠是首要任務。就台灣而言,國際社會對台灣的支持依然穩固,甚至比以往更為強健。
<語彙注釈>
烏俄戰爭Wū é zhànzhēng=ウクライナ・ロシア戦争 色列Sè liè=イスラエル 烏克蘭Wūkèlán=ウクライナ 永遠Yǒngyuǎn=永遠に 穩固Wěngù=安定している
<大意訳>
話がウクライナとロシアの戦争やイスラエルでの戦争についての議題に及ぶと、蔡総統は自分はウクライナの情勢の見通しに注目しており、総統の身としては台湾の人民と自由な生活方式を守ることこそ永遠に優先される任務であると述べる。台湾に関して言えば、国際社会の台湾支持は依然として安定しているしむしろ以前よりも強くなっている、と。
セクション6
蔡總統感謝美國公開重申其與台灣的夥伴關係歷久彌新,且對印太地區的關注,不會受到其他區域事件的影響。她說,這個月初,G7外長聲明重申,台灣的安全對全球安全至關重要;烏克蘭和中東的戰爭也讓台灣意識到,避免戰爭的發生方為上策。為了避免戰爭發生,展現捍衛自己的力量和決心至關重要。同時,也必須記住,抵禦極端主義、恐怖主義和威權主義的侵略,需要所有夥伴及盟友的共同努力。(責任主編:莊儱宇)
<語彙注釈>
歷久彌新Lìjiǔ mí xīn=いつも変わらない 方為上策Fāng wéi shàngcè=最善の方策 捍衛Hànwèi=守る 決心Juéxīn=覚悟 抵禦Dǐyù=抵抗する 極端主義Jíduān zhǔyì=過激主義・テロリズム 威權主義Wēiquán zhǔyì=権威主義 侵略Qīnlüè=侵略
<大意訳>
蔡総統はアメリカが他の地域で起こる事件の影響を受けずに、台湾との変わることないパートナーシップを繰り返し公式表明し、かつインド太平洋地域に注意を払ってくれていることに感謝する。彼女はこう述べる。今月初め、G7外相会議が台湾の安全は世界の安全保障に関連して重要であると繰り返し声明を出した。ウクライナや中東の戦争を通じて台湾は戦争の勃発を回避することこそ最善の方策であることを意識させられている。戦争が起こることを回避するためには、自らを守る力と覚悟をもつことが重要になってくる。また同時に忘れてはならぬのは、テロリズムや恐怖主義、覇権主義による侵略に抵抗し、あらゆるパートナーおよび盟友たちと共同で努力していく必要がある、と。(責任編集:莊儱宇)
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