混迷する台湾総統選挙の動向 三つ巴の野党勢力

 今回の題材記事

初回は、2023/11/21に台湾ヤフーニュースで掲載された、以下の記事を題材にします。

2023/11/21の台湾ヤフー掲載記事より
2023/11/21の台湾ヤフー掲載記事より

記事「從綠白合、橘白合、黃白合到黑白合、紅白合、藍白合」のリンクは、こちらから

<解説>

台湾では来年2024年一月に、総統選挙が行われます。

今回、政権与党の民進党からは若手ホープとして総統となることを嘱望されてきた賴清德氏が出馬しますが、圧倒的支持は集められておらず、台中協調路線を主張する国民党の候補者、侯友宜氏が優勢になるかと思いきや、前台北市長の柯文哲氏がどっちつかずのポピュリズム政党、民衆党から立候補表明し、さらには無所属で鴻海精密工業会長の郭台銘氏まで立候補を表明しており、事態は混迷を極めています。

台湾の場合、総統選は非常に身近で真剣に討議すべき重大な選挙であり、投票率は80パーセントを割ることはありません。

それだけ、国家(・・・とは国連では認知されていませんが)として国民の政治参加意識が高く、選挙の結果が個々人の生活と切実に密接に関わっていることを皆が認識理解している点は、日本とは全く異なる世界だと言えるでしょう。

特に中国との「距離」の取り方については、総統選がその方向性を大きく左右します。

現在、台湾主要企業の多くが中国工場で生産を行っており、台中関係は経済にも大きな影響を及ぼします。

この記事の筆者・陳文瀾さんは、どちらかといえば中国との距離を置くべきと考えている、民進党の支持者のようです。

日本ではアメリカ寄りの民進党の政策が強調・評価されることが多いのですが、しかしながらこうした民進党の反中政策のみが台湾では重視されているわけではありません。

中国工場を持つ企業の眷属の方々は、中国との協調推進を望む人が多くいて、それは主に伝統的に国民党の支持基盤ともなっていますが、それだけ総統選の行方は個人の利害とも直接的な関係を持っています。

また、汚職などに対する視線は台湾では厳しいものがあり、総統選候補者の柯文哲氏に対しては、かなり批判的で熱いことがこの記事にも書かれていますが、それだけ言論の自由があり、メディアの力がまだ健在なのも日本とは大きく異なる点です。

補足しますが、台湾では政党ごとにカラーがあり、この記事で出てくる「色」は、政党や勢力の象徴イメージとして使われます。

この記事で出てきている色を補足説明すると・・・

=民進党=独立志向が強い現在の台湾政権与党=今回の候補者は賴清德

藍(ブルー)=国民党=台湾の保守政党だが中国とは協調路線をとる=今回の候補者は侯友宜(新北市長)氏

=民衆党=中道右派といったところだが、どっちつかずでポピュリズム色が強い政党。台北など大都市部に支持者が多い=候補者は柯文哲(前台北市長)氏

=新党「時代力量」=若手の黃國昌氏を中心とし、台湾独立を掲げる新しい政党

橘(オレンジ)=親民党=国民党右派勢力が分離してできた政党、非常に中国寄りで、中国との統一による利益を主張する

=中国共産党=中国政府のこと

=反社会的勢力。マフィア

=政治家との癒着で儲ける政商勢力

とまあ、複雑な利害関係が見て取れます。

しかも今回は、ここには入りませんが、シャープ親会社である鴻海の会長、郭台銘氏も中国との協調路線をかかげて無所属で総統選に立候補するそうで、総統選はどうなるのやらさっぱり見通せなくなってきていますが、対中国協調路線を掲げる候補者たちは三つ巴となり、このままいくと漁夫の利で民進党が勝利しそうな流れになっています。

実際にローカル記事を見てみると、歯に衣を着せぬ論調が非常に面白く、台湾人の気質がよくわかると思います。

<このブログについて>

このブログは、私が台湾のローカルニュースをみつくろい、簡単な解説を施しつつ、記事に語彙注釈をつけるとともに、大意訳を書きます。

次第に慣れていくことと思いますが、大意訳はある程度の意訳ですので細部はご了承ください。

最新の台湾事情について知りたい方は、大意訳だけお読みいただき、日本で報道されていない台湾事情をご理解されるためにお役立ていただけたらと思います。

語学(中国語・台湾華語)学習者の方は、一部ですが語彙注釈をつけましたので、読解できるかトライして学習にお役立てください。

機を見ていろいろな記事を今後上げていきたいと思います!


記事と大意訳

記事のオリジナル出典:思想坦克 2023年11月21日 週二 上午8:00

セクション1

◎從綠白合、橘白合、黃白合到黑白合、紅白合、藍白合

陳文瀾

許多中壯年泛藍支持者,總活在無限遺憾的內心小劇場中,這些遺憾終將匯集成推動政潮的力量。例如,他們在無法計算數次的話當年時,總愛提「如果孫運璿未腦溢血,如果蔣經國能撐完第2任總統任期,就『輪不到李登輝當總統』」、「如果陳水扁未使出『兩顆子彈賤招』,連戰、宋楚瑜早就贏得2004年總統大選了。」

<語彙注釈>

泛Fàn=広範な 匯集Huìjí=あつめる 孫運璿Sūnyùnxuán=台湾のかつての政治家。科学技術の振興を促進 撐完Chēng wán=人気を全うする 顆子Kē zi=・・・粒の、と意味する量詞 兩顆子彈賤招=2004年の総統選終盤、現職総統だった陳水扁が拳銃で銃撃される事件が起こった。親中派による暗殺未遂か?と報じられたことで、劣勢だった陳水扁に票が集まり、逆転での再選となったが、これには自作自演疑惑も付きまとい、批判も出され論争となった 賤招Jiàn zhāo=きたなく招き寄せる 蔣經國=蒋介石の長男で台湾での二代目総統。後継者指名せず、李登輝に政権を譲る形で死没 連戰=元国民党主席。総統選で二度にわたり民進党候補の陳水扁に敗北した 宋楚瑜Sòngchǔyú=急進的に台中統一を主張する中国寄りの政治家。親民党の設立者。連戰と連立を組み、副総統候補として総統選を戦ったが陳水扁に敗北した

<大意訳>

◎(記事タイトル)

綠白(民進党と民衆党)連合から、橘白(親民党と民衆党)連合、黃白(新党時代力量と民衆党)連合、そして黑白(汚職勢力と民衆党)連合、紅白(中国共産党と民衆党)連合、藍白(国民党と民衆党)連合にいたる(→主に民衆党からの総統選候補者、柯文哲を批判的に揶揄)


中高年の広範な国民党支持者の残党の多くは、総じて尽きることのない無念を抱きつつ妄想の小さな劇場で演劇を演じているようなもので、こうした無念がついには結集して政治的潮流の推進力となろうとしている。たとえば、目算が立たないこの総統選前年においても彼らが総じて言いたがるのは、「もし孫運璿が脳溢血で倒れなければ、もし蔣經國が二期目の総統任期を全うしていたら、『李登輝に総統職が回ってくることはなかった』はずだ」とか、「もし陳水扁が『二発の疑惑の銃弾を招き寄せる』という姑息な手を使わなければ、連戰、宋楚瑜は2004年の総統選で楽々勝利していた」といったことだ。

セクション2

◆黨國遺老遺少死而不僵

千萬別小看這群遺老、遺少的力量,他們迄今仍左右台灣政局的發展。所以,先前問政成績乏善可陳、自稱是蔣經國之孫的蔣萬安,面對陳時中、黃珊珊兩大強敵,依然輕鬆贏得台北市市長選舉,且可望成為下一屆中國國民黨總統候選人的熱門人選。

於是,連戰、宋楚瑜Sòngchǔyú2004年以些微數票敗北的遺憾,也是泛藍支持者期待2024年總統大選藍白合的基底。遺老、遺少心中有從未謝幕的小劇場,也有不斷算計的小算盤;他們樂觀地計算,侯友宜、柯文哲支持率相加,必定超越賴清德,若藍、白陣營可合組正副總統候選人搭檔,必定勝券在握。

然而,遺老與遺少千盤點、萬算計,總是遺忘政治局勢早已時移勢轉,且藍白合與連宋合難以相提並論,不能以加法計算其合流。首先,連戰、宋楚瑜都出身中國國民黨,雙方支持者大多樂見連宋合,但侯友宜、柯文哲支持者歧異較大,藍白合實為中國國民黨高層與泛藍支持者的一廂情願,而柯文哲抓住了中國國民黨的「軟肋」,持續攻城掠地。

遺老與遺少更遺忘了歷史教訓,中國國民黨面對中國共產黨,總屢戰屢敗,面對毛澤東Máozédōng信徒柯文哲,又一再退讓,陷入其設計的全民調陷阱。侯友宜連柯文哲都難以招架,遑論應付毛澤東嫡系傳人習近平,而柯文哲行事與中國共產黨如出一轍,現更與中國共產黨隔海唱和;無論侯柯配,或柯侯配,都是台灣的災難。

<語彙注釈>

遺老遺少Yílǎo yíshào=(国民党伝統的な支持者の)年配者や若者 死而不僵Sǐ ér bù jiāng=死に体だが硬直してはいない 迄今Qìjīn=いままで 乏善可陳Fáshànkěchén精彩のない 黃珊珊Huángshānshān 屆Jiè=世代 連戰Liánzhàn、宋楚瑜Sòngchǔyú=かつて総統候補、副総統候補として連合を組み、陳水扁と総統選挙を争った台湾国民党系の政治家。2004年は僅差で敗北 搭檔Dādàng 勝券在握Shèngquàn zàiwò 時移勢轉Shí yí shì zhuǎn 歧異較大Qíyì jiào dà 一廂情願Yīxiāngqíngyuàn=希望的な観測 抓住Zhuā zhù 軟肋Ruǎnlē=弱み 攻城掠地Gōng chéng lüè de 屢戰屢敗Lǚ zhàn lǚ bài=連戦連敗 陷阱Xiànjǐng=落とし穴 招架Zhāojià=受け流す 遑論應付Huánglùn yìngfù=対処どころではなく 嫡系傳人Díxì chuánrén=直径後継者 如出一轍Rúchūyīzhé=同じに見える 災難Zāinàn

<大意訳>

◆国民党を今も支持する老若男女は、まだ完全に死んではいない

国民党をいまだに支持する年配者や若者たちの力を過小評価はできない。彼らは今もなお台湾の政局の行く先を左右する。この前の選挙で政治実績に乏しく自らが蒋介石の孫と自称する蔣萬安が陳時中、黃珊珊という二人の強敵と相対したとき、いとも簡単に台北市長選挙を制し、次の国民党総統候補となることを期待されつつ熱き当選を果たしたのは彼らの力による。

2004年に連戰、宋楚瑜が僅差の票で敗れたことの悔しさはまた、国民党支持者が2024年の総統選挙において国民党と民衆党の共闘に期待する下地となっている。未だに国民党を支持する老若男女の心の中では妄想小劇場の幕はまだ下りていないので、ずっとそろばんをはじいて計算を巡らせる。彼らの気楽な計算では、侯友宜、柯文哲の支持率が互いに加算されれば、必ずや賴清德を上回る、もし国民党と民衆党双方の陣営が正副の総統候補者として手を組めば、勝利は間違いない、と。

しかしながらこうした国民党支持の年配者と若者の見通しはどんぶり勘定であり、すでに政局は形勢が変わってしまっていることに気づいていない。かつ、国民党と民衆党の連立は連戰、宋楚瑜の連立と同じようには語れず、足し算の手法での合流はできない。だいたい連戰、宋楚瑜はいずれも国民党の出身だったし、双方の支持者たちも彼らの連立を楽観的に見ていた。しかし侯友宜、柯文哲の支持者は立場の違いが大きく、国民党と民衆党の連合は国民党上層部とすべての国民党支持者たちの希望的観測でしかない。そして柯文哲は国民党の「弱み」につけこむことで台北市長の地位を維持し続けてきた。

国民党残党の老若男女は、歴史の教訓をすっかり忘れてしまっている。国民党は中国共産党と対峙していつも連戦連敗してきているのであり、毛沢東信奉者の柯文哲はさらに譲歩し、台湾全国民を陥れるために共産党がしかける罠にはまるだろう。侯友宜は柯文哲でさえも見過ごしがたい人物であり、毛沢東の直系後継者である習近平に対してはまるでなすすべもない。まあ柯文哲のやることといったら中国共産党と同じようなもので、今でさえ海を隔てた中国共産党に同調している。侯友宜が総統で柯文哲が副総統だろうと、柯文哲が総統で侯友宜が副総統だろうと、いずれも台湾にとっては災難でしかない。

セクション3

◆侯友宜祇是朱、韓、馬操弄的傀儡

侯友宜支持率原已偏低,經藍白合議題攪和,阿斗、下駟形象更加顯明。2023年下半前起,無論在黨、在政,蔡英文皆將鎂光燈焦點讓給賴清德;反觀侯友宜,雖是中國國民黨的總統候選人,但因未經過黨內初選機制,乃由黨主席朱立倫Zhūlìlún所徵召,猶如「兒皇帝」,無法阻擋「太上皇」朱立倫干預選務。

如今,藍白合議題已讓侯友宜騎虎難下,甚至他若自行尋覓副總統候選人,都將背負破壞藍白合的罪名。相準侯友宜無法獨力掌控選務,另兩位想當中國國民黨「太上皇」的前總統馬英九、上一屆總統候選人韓國瑜,也發聲呼籲中國國民黨應接受全民調。

實際上,朱立倫、馬英九、韓國瑜早已認定此次總統大選,侯友宜必定敗北,現正爭奪2024年後中國國民黨的主導權。因為,縱使他們聲稱,其所支持的全民調版本與台灣民眾黨的全民調版本不同,卻都同時故意忽略,現距離總統候選人登記時間已然不遠,倘若藍白合破局,侯友宜已無充裕時間另覓副手。

可想而知的,藍白合尚未破局前,朱、馬、韓爭相發抒己見,聲量還壓過侯友宜;但藍白合若破局,朱、馬、韓必保持緘默,或努力製造新的議題,獨留侯友宜收拾殘局。尷尬的是,侯友宜縱使找到副總統候選人,此人也將被譏為備胎,而侯友宜的政治生命,也將在新北市市長任期屆滿後終結。

對朱、馬、韓而言,藍白合是假議題,他們無心幫助侯友宜,只把侯友宜當成維持自聲政治量能的墊腳石。對柯文哲而言,藍白合也是假議題,但持續與中國國民黨若即若離,又放出與郭台銘陣營曖昧的訊息,既可弱化侯友宜,又可抬高自己身價,何樂而不為。

<語彙注釈>

祇是Qíshì=にすぎない 傀儡Kuǐlěi 攪和Jiǎohuo 阿斗Ādǒu=愚か者 下駟Xià sì=追いつけない 鎂光燈Měiguāng dēng=スポットライト 初選機制Chū xuǎn jīzhì=予備選制度
徵召Zhǐzhào=呼び出す 猶如Yóurú=あたかも 阻擋Zǔdǎng=はばむ 干預選務Gānyù xuǎn wù=選挙干渉 騎虎難下Qíhǔnánxià=実力者を制御できない 尋覓Xúnmì=探す 發聲呼籲Fāshēng hūyù=声を大にして叫ぶ 縱使Zòngshǐ=それでも 全民調版本=世論調査の方式 故意忽略Gùyì hūlüè=故意に無視する 倘若Tǎngruò=もしも 裕Yù=ゆとりがある 抒己見Shū jǐjiàn=自分の意見を表明する 緘默Jiānmò=沈黙する 尷尬Gāngà=気まずい 備胎Bèi tāi=スペアタイヤ 屆滿Jièmǎn=任期が終わる 墊腳石Diànjiǎoshí=踏み石 何樂而不為=どれだけ楽しめるかしれない 朱立倫Zhūlìlún=現在の国民党主席 韓國瑜Hánguó yú=前回の国民党からの総統選候補者 馬英九Mǎyīngjiǔ=前台湾総統、国民党の元老 

<大意訳>

◆侯友宜は、朱立倫、韓國瑜、馬英九の操り人形に過ぎない

侯友宜はもともと支持率は低迷しており、国民党と民衆党が政策を混ぜ合わせたところで、愚かにも当選ラインまで追いつけないことは明白だ。蔡英文は2023年後半から、党としても政権としても賴清德にスポットライトが当たるように取りはからってきている。反対に侯友宜は、国民党の総統候補者に選ばれはしたが、党内の予備選挙を経たわけでなく、結局は国民党主席の朱立倫がお声掛けした「お子様皇帝」のようなものだ。「太上皇」である朱立倫の選挙干渉は阻みようがない。

今すでに国民党・民衆党の政策協調も侯友宜にはコントロールできていない。ましてや彼自らが副総統候補を選ぼうとしても、国民党・民衆党連合の破壊者との汚名を着せられてしまう。侯友宜が自力で選挙実務を制御できないということに着目し、前総統の馬英九と前回の総統選候補者の韓國瑜という、国民党の「太上皇」になりたがっているこれまた別の二人が、声を大にして国民党は全国民の世論を受け入れるべきだ、などと言い出した。

国民党・民衆党連合はまだ破局してはおらぬが、朱、馬、韓の三人は相争って自説を展開し、その声が侯友宜を押しつぶしてすらいるのはもはや言うまでもない。だが、国民党・民衆党連合がもし破局すれば、朱、馬、韓の三人は必ずや沈黙せざるを得なくなるし、あるいは新しい論点を作り出そうとして侯友宜一人に敗残処理をさせるだろう。皮肉なことに侯友宜がそれでも副総統候補を見つけ出せば、その人物はスペアタイヤに過ぎないとみなされてしまうから、侯友宜の政治生命も新北市長の任期が終わると同時に終わるのである。

朱、馬、韓の三人に関して言えば、国民党・民衆党連立は当座しのぎであるし、彼らは侯友宜を助ける気などさらさらなく、ただ侯友宜をして自分たちの政治発言力を維持するための踏み石にしているだけである。柯文哲については、これまた国民党・民衆党連立などはその場しのぎなのだが、国民党とつかず離れずの関係を維持するとともに、郭台銘陣営に曖昧な情報を横流ししてやれば、侯友宜を弱体化できるだけでなく自らの価格を高めることができるというのであるから、どれほどお気軽な立場か知れない。

セクション4

◆柯文哲靠著變變變擴展實力

從藍白合議題發酵起,柯文哲便一路喊冤,待藍白合「正式」破局,必定再高叫撞天屈,型塑遭大黨欺壓的可憐形象,以吸引同情票。讓柯文哲得意的是,他不費吹灰之力,一路坑蒙拐騙,就讓中國國民黨自亂陣腳、敗象已露,讓不願民進黨繼續執政的民眾,只能寄希望於他。

許多人已遺忘,柯文哲原靠綠白合起家,又藉任命鄧家基、黃珊珊為副市長,吸納新黨、親民黨力量,營造黃白合、橘白合氛圍,並延攬多位不同陣營的「政二代」,以吸納不同黨派勢力,再藉將台北市「五大弊案」轉換為「無大弊案」,私會數位爭議性高的商人,促成金白合。

之後,他又與黃國昌勾搭,企圖拉攏時代力量支持者,現又藉著藍白合,讓若干曾視他如寇讎的深藍悍將,也相繼改口稱讚他。除此,柯文哲多次與若干黑道背景政治人物相互拉抬,黑白合早已毫不避諱,先前又將呼籲急統的中國裔配偶徐春鶯Xúchūnyīng,納入台灣民眾黨不分區立委名單,代表不再遮掩紅白合。

<語彙注釈>

柯文哲Kēwénzhé=前台北市長で民衆党からの総統選候補者 便一路=ずっと 喊冤Hǎnyuān=不平を叫ぶ 撞天屈Zhuàng tiān qū=際限なく 型塑Xíng sù=ふりをする 欺壓Qīyā=抑圧する 吹灰之力Chuīhuīzhīlì 坑蒙拐騙Kēngmēng guǎipiàn 延攬Yánlǎn=勧誘する 弊案Bì àn=不正案件 爭議性高Zhēngyì xìng gāo=物議をかもす 勾搭Gōudā=結託する 拉攏Lālǒng=勝ち取る 寇讎Kòu chóu=かたき 悍將Hàn jiāng=大物 相繼改口=つぎつぎ言葉を変えて 相互拉抬Xiānghù lā tái=互いに恩恵を受け合う 毫不避諱Háo bù bìhuì=恥じることない 急統=早く統一を急ぐ 裔Yì=子孫 遮掩Zhēyǎn=隠れた

<大意訳>

◆柯文哲はころころと変節を繰り返しつつ力をつけてきた人物

国民党・民衆党連立の政策統合を検討する段階から、柯文哲はずっと不平を言い続けてきたが、国民党・民衆党連立が正式に破局したら必ずや無制限に文句を言い、大政党である国民党の欺瞞に押しつぶされた哀れな被害者のふりをすることで同情票を得ようとするだろう。柯文哲の得意技は、燃え残りの灰に息を吹きかけたりといった無駄なことはせず、ひたすら汚く国民党の足並みを乱し、既に敗色濃厚だとしても民進党に政権を続けさせたくない国民に、彼だけが希望であると思わせることだ。

多くの人が忘れているが、柯文哲はもともと最初は民進党・民衆党連合を提唱した人物であり、鄧家基、黃珊珊を副市長に任命することで新党「時代力量」や親民党と協調ムードを作り出し、多くの異なる陣営の「二世政治家」を誘い込み異なる政党のパワーを吸収してきた。台北市長に再当選するや台北市の「五大汚職」を「汚職なし」へと転換し、個人的にIT関係で物議をかもす政商と癒着して金権・民衆党連立を促進した。

その後、彼はまた黃國昌と結託することで新党「時代力量」支持者の票を獲得しようと画策、現在は国民党・民衆党連立の立場をとり、かつては彼を敵視していた国民党内親中派勢力の大物さえも次々と言葉を変えて彼を讃えるようになっている。このほか、柯文哲はマフィアをバックにした数多くの政治家とも共存共栄の関係であり、マフィア・民衆党連合を組んで恥じることもない。また以前には急進的統一主義者である中国人末裔の配偶者である徐春鶯に声をかけ、民衆党の比例区立法委員候補のリストに入れたりしているが、こうなると実態は中国共産党・民衆党連合であることはもはや隠しようがない。

セクション5

◆柯倚賴的吸星大法終將自斃

柯文哲就像金庸Jīnyōng 武俠小說《笑傲江湖Xiào ào jiānghú》中的任我行,以吸星大法吸取對手的內力,但其「丹田常如空箱」,沒有任何中心思想、理念,所有政策、議題都是虛晃一招,內閣制、藍白合皆是,但靠著口號、自我與追隨者吹噓、媒體吹捧,卻可吸引眾多信徒。

對抗吸星大法,唯賴《易筋經》;而邏輯能力、民主信念、媒體識讀素養,正是對抗柯文哲吸星大法的《易筋經》。一如金庸所描繪的,任我行一敗於東方不敗政變,二敗於吸星大法內噬;而當柯文哲總統大選敗選後,無法再公器私用,無法再分潤資源給投靠者,台灣民眾黨必將內鬨,投靠者必將另投強者!

可悲的是,經朱立倫、柯文哲兩人攪和,政黨合作已淪為公開的權力分贓,已然臭不可聞,讓台灣政黨政治文化更加倒退!

<語彙注釈>

倚Yǐ=寄りかかる 金庸=現代中華世界を代表する香港のハードボイルド小説家 吸星大法=相手の内なる気のエネルギーを取り込み利用する武術の奥義、ここでは柯文哲が異なる政党と協調をにおわせては相手の支持基盤を奪い取ってきた手法を揶揄する 武俠小說Wǔxiá xiǎoshuō=ハードボイルド小説 任我行=相手の内部の力を取り込み奪う術に長けた小説の登場人物 丹田Dāntián=腹のうち 虛晃一招Xū huǎngyī zhāo=ごまかし 吹噓Chuīxū=ひけらかす 吹捧Chuīpěng=ごまをする 易筋經=自分の内側を鍛える少林寺の呼吸鍛錬法奥義 邏輯能力Luójí nénglì=論理能力 識讀素養Shí dú sùyǎng=リテラシー 噬 shì=噛む 分潤Fēn rùn=利益分配 內鬨Nèi hòng=取り込まれる 投靠者Tóukào zhě=投降者 另投強者=強いものに投降する 淪Lún=衰退する 分贓Fēnzāng=戦利品分配 倒退Dàotuì=後退 

<大意訳>

◆柯文哲は賴清德に”吸星大法”を仕掛け、ついには自滅する

柯文哲の手法はあたかも金庸のハードボイルド小説「笑傲江湖」の登場人物、任我行のようである。吸星大法(相手の内部の気を吸収する中国武術の奥義)により相手の内部の力を吸収することでここまでやってきたのだが、しかし彼自身の「腹のうちは常に空っぽ」であり、中心となる思想、理念はまるでなく、いわゆる政策、テーマはすべてごまかしであって、内閣制も国民党・民衆党連立もすべて口先だけ、自分と追従者だけをひけらかし、メディアにごまをすることで多くの信者となる国民を吸収してきた。

吸星大法を操る任我行(柯文哲の比喩)に対抗するために、賴清德はただ易筋經(自分の内側を鍛える少林寺の呼吸鍛錬法)を実行するのみだ。それは、論理的能力、民主的信念、メディアに対するリテラシーであり、これこそまさに柯文哲の操る吸星大法に対抗する易筋經に他ならない。金庸が描いているように、任我行は東方不敗のクーデターで一度敗れ、吸星大法が内側で噛みついて二度敗れた。柯文哲は総統選に敗北した後、公職権を私物化することもできず、身を寄せてきた人たちに利益を分配することもできず、台湾民衆党は必ずや内部から他の政党に同化させられ、民衆党に投降して身を寄せた人たちはまた別の強者に投降せざるを得なくなる。

朱立倫、柯文哲両人が混ざりあったことで政党同士の連合は公衆の面前で権力を分散させて衰退し、愚かしいことだが台湾の政党政治の文化をいっそう後退させてしまうこととなったのはもはや悲哀というべきである。




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